TEI古典籍ビューワ
TEIviewer4EAJ ver. 2024-11-12
はじめに
一般財団法人人文情報学研究所では、東アジア古典籍を主な用途とするTEIのビューワを開発しました。現在は、翻刻や校訂テキスト、固有表現リンク等の形式に対応しており、古典文学、和歌、仏典、近代小説などの事例に適用しています。詳しくは以下をご覧ください。
想定される用途
このビューワは、手元のファイルを気軽に表示することを目指すもので、TEIに準拠したマークアップの作業をしながら表示のされ方を確認したい時や、作成したTEI準拠テキストをプレゼンで提示する時などに利用されることを念頭に置いて開発しています。
活用事例 - テキストは事例提示用のものですのでご注意ください!
典籍名(典籍のタイプ・構造化データ作成者) - 本文・全体構造以外の主な表示機能
校異源氏物語冒頭部分 (xml)(平安文学・校異本 by多くのボランティア)
校異情報(parallel-segmentaion)
廣瀬本万葉集第二巻 (xml) (和歌・写本 by関西大学KU-ORCAS)
合点、注、異文、送り、異訓、訓、左側注記
校異情報(parallel-segmentaion)IIIF対応画像表示、人名、題詠表現
古今和歌集 (xml)(勅撰和歌集・和歌 by幾浦裕之、国文学研究資料館)
人名、勘物 校異情報(parallel-segmentaion)校異は仮名序~巻一春上
般若波羅蜜多心経 (xml)(仏典・漢文 bySAT研究会、永崎研宣)
校異情報(parallel-segmentaion)、人名
勝鬘経義疏 (xml)(仏典・漢文 bySAT研究会、永崎研宣)
校異情報 (double-end-point)、返り点、人名、地名(カスタマイズによる)
仏語心論(一部) (xml)(仏典・注釈書 by佐久間祐惟)
注釈情報のグラフ表示(ID参照による)
人名、地名(カスタマイズによる)、ルビ
自分のTEI準拠ファイルでTEI古典籍ビューワを使用する場合
Web版:以下のURLにて自分のTEI準拠ファイルを読み込ませてみてください。
※このビューワでは、ファイルはサーバにはアップロードされず、ブラウザ内で処理されます。
ローカル動作用ファイル: ダウンロード (ver. 2024-11-12)
ネット接続がなくてもローカルPC上で使えます。
ただし、頻繁にアップデートしますので時々こちらにてご確認ください。
現在、表示機能が対応している主なマークアップ手法
基本的なTEIの構造
縦書き表示
校異情報(異読・異文・校勘情報)の表示(pallalel-segmentation及びdouble-end-point方式)
校異情報の記述方法についてはこちらを参照⇒12.2 Linking the Apparatus to the Text
校異情報に基づく底本・対校本のテキストの再構成
<zone>による校異情報のIIIF対応画像表示
ID参照関係のテキストハイライト表示
D3.jsによるID参照関係のグラフ表示
固有名詞(人名)のリストアップと表示
設定ファイルによるリストアップと表示可能なID付きエレメントの追加
表示対象のエレメントをカスタマイズできます:解説
<choice>使用時に選択肢をリストアップし切り替え [最近実装!]
<front><body><back>の表示/非表示切り替え [最近実装!]
本文表示部の高さを調整可能 [最近実装!]
<zone>とID参照による任意の情報のIIIF対応画像表示
簡易検索機能 [最近実装!]
検索対象のエレメントのカスタマイズが必要です
※TEIガイドラインに準拠したマークアップの方法については、以下の頁をご覧ください。
制限事項
Webブラウザでの処理を前提としているため、大きなファイルを表示しようとするとブラウザがフリーズしてしまいます。PCの性能にもよりますが、2MBくらいが一つの目安になります。
現在は開発中であり、TEIガイドラインにおいて提供されるエレメントのなかではまだごく一部にしか対応していません。開発・実装についてのご相談は受け付けております。
ビューワの開発体制について
本ビューワは、永崎研宣が開発していたビューワを元に、一般財団法人人文情報学研究所とフェリックス・スタイルが共同で開発を行っています。また、実装にあたっては日本を含む東アジアの古典籍のTEI準拠ファイルを様々な方々から提供していただいています。
本ビューワの開発に関連する研究発表等は以下の通りです。
永崎 研宣, 乾 善彦, 菊池 信彦, 宮川 創, 小川 歩美, 堀井 洋, 吉賀 夏子. 万葉集伝本研究のためのデジタル基盤構築 廣瀬本『万葉集』の構造化とビューワの開発. 研究報告人文科学とコンピュータ(CH). 2021, vol. 2021-CH-125, no. 2, p. 1–7.
王 一凡, 渡邉 要一郎, 永﨑 研宣, 下田 正弘. 『續一切經音義』からみる漢文文献の TEI マークアップの課題. じんもんこん2021論文集. 2021, vol. 2021, p. 234–239.
左藤 仁宏, 渡邉 要一郎, 下田 正弘. 仏教思想の概念体系の記述手法としてのTEI マークアップの現状と課題. じんもんこん2021論文集. 2021, vol. 2021, p. 288–293.
渡邉 要一郎, 永崎 研宣, 大向 一輝, 井野 雅文, 村瀬 友洋, 朴 賢珍, 下田 正弘. デジタル法寶義林における研究データの共同構築. 研究報告人文科学とコンピュータ(CH). 2022, vol. 2022-CH-128, no. 9, p. 1–4.
永崎 研宣, 大向 一輝, 下田 正弘. 仏教学のためのデジタル学術編集システムの構築に向けたモデルの提案と実装. 情報処理学会論文誌. 2022, vol. 63, no. 2, p. 324–334.
永崎 研宣, 中村 覚, 田中 真, 西河 雅人, 林 龍樹, 井上 慶淳, 下田 正弘. 構造化テキストデータの活用における現状と課題 ―TEIに準拠した『浄土真宗聖典全書』全文検索システムの開発を通じて―. じんもんこん2022論文集. 2022, vol. 2022, p. 73–78.
塩井 祥子, 永崎 研宣. 日本近代文学における自筆資料の構造的記述の可能性―江戸川乱歩自筆資料を手がかりとして―. じんもんこん2022論文集. 2022, vol. 2022, p. 67–72.
幾浦 裕之, 永崎 研宣, 加藤 弓枝. 題詠表現に着目した中世歌合の構造化と提示手法に関する試み―建仁元年『石清水社歌合』を事例として―. 研究報告人文科学とコンピュータ(CH). 2023, vol. 2023-CH-132, no. 3, p. 1–8.
佐久間 祐惟, 永崎 研宣, 左藤 仁宏, 村瀬 友洋, 下田 正弘. 仏教の伝統的知識体系の構造化に向けて―日本の漢訳経典注釈書に対するマークアップについての一試論―. 研究報告人文科学とコンピュータ(CH). 2023, vol. 2023-CH-132, no. 11, p. 1–6.
藤原 静香, 永崎 研宣, 幾浦 裕之, 盛田 帝子, 飯倉 洋一, 松本 大. 『十番虫合絵巻』ビューワの開発―TEIを用いた和歌文学資料のマークアップを通じて―. 研究報告人文科学とコンピュータ(CH). 2023, vol. 2023-CH-132, no. 7, p. 1–4.
幾浦 裕之, 永崎 研宣, 加藤 弓枝. 勅撰和歌集の構造化と提示手法に関する試み ―嘉禄二年本『古今和歌集』を事例として―. じんもんこん2023論文集. 2023, vol. 2023, p. 183–190.